くまーるブログ

あやしうこそものぐるほしけれ。

コマ給

日本語教師の求人、花盛りです。

現在は10月以降の講師を募集しているところがほとんどでしょうか。

10月の第一週(2日から8日までの週)は秋休みでその翌週の11日(火)から新しい学期が始まるところが多いと思います。
日本語学校側としては、「11日(火)までに新しい講師に来てほしい」と思っているのではないでしょうか。

 

今回はその求人のうち、非常勤講師の募集について考えたいと思います。

 

実は以前、「日本語教師の求人の「待遇」の表記について」というタイトルのブログを書きました。


ここで「コマ給はなんとかならないのか」というようなことを書きました。

 

そして今、求人を見ていると多くの日本語学校“コマ給”なのです。

しかも、

 

 1コマ45分 1,800円~(能力・経験による)

 

非常に曖昧

 

なんとかならないのか

 

という言葉が、どうしても出てきてしまいます。

 

以前のブログでも引用しましたが、この「1コマ45分1,800円~(能力・経験による)」だけではよろしくないので、このように改善しましょう、というポイントが書かれた資料があります。

学習塾における講師等の労働条件の確保・改善のポイント[神奈川労働局]

https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/var/rev0/0120/1443/20182221457.pdf

これによると、「従事すべき業務を具体的に明示しましょう」とあります。
「労働条件通知書」に明記するのはもちろんですが、求人の段階でもできるだけ正確に示してほしいものです。

でもそれが一向に改善されていない今、応募する側がきちんとポイントを押さえておく必要があるのかな、と思います。

まずはこちらをご覧ください。

 

(「1 労働条件の明示について(労働基準法第 15 条及び労働基準法施行規則第 5 条)」より )

このBの部分は給料としてどうなっているのか、応募時の問い合わせや選考面接の時点でしっかり確認したほうがいいと思うのです。
言いにくいかもしれませんが、「こんなもんだ」とか「初めてだから仕方ない」と思っていると今後一考に待遇が変わらないんじゃないかと思います。

 

私が今までの経験から、事前に把握しておいたほうがいいのは以下の5つです。

 

ア.打合せ・ミーティングへの参加・出席
イ.授業報告書の作成
ウ.授業準備
エ.テスト監督・採点(小テストから定期試験まで)
オ.授業時間外の学生からの質問・相談対応

ア~オがどのような形で支払われるのか、応募時の問い合わせ、選考面接のいずれかの段階で把握しておいたほうがいいと思います。
(大事だと思うので一番大きい字で赤い字にしました!)

 

例えば

<A校の場合>

アは時給1,500円で支払うが、他は全てコマ給に含まれる。
ただしオについては、非常勤講師は対応しなくてよい。

<B校の場合>

ア・エ・オは時給1,500円で支払うが、他は全てコマ給に含まれる。

<C校の場合>

イ・ウはコマ給に含まれる。
アは時給1,500円で支払う。
エ・オは専任講師が行うので非常勤は携わらなくてよい。ただし、授業時間中に行う小テストのみ、非常勤講師が監督をする。その場合の給料はコマ給に含まれる。

 

なんていう風に各校さまざまです。

ですので、事前の確認は大事だと思います。

 

さて、最後にちょっとだけ聞いてください。
ただの持論と言えば持論なのですが・・・。

何かというと、「授業準備の時間です。

日本語教師の求人を見て、昔からずっと腑に落ちないのが「授業準備の時間が給料に入っていないこと」でした。

いやあね、「授業準備なんて人それぞれなので、早く終わる人もいれば時間がかかる人もいる。だから給料として払うのは・・・」という考えがあるのはわかるのですが、やはり、「なんとかならないのか」って思うんです。

多分、私が「どうやっても準備に時間がかかる」派だから、というのもあると思うんです。
これは私が、要領が悪いからだと思います。何やっても時間がかかるんです。授業以外もです。

以前、養成講座で受講生さんからこのような発言をいただきました。

 

Twitterの文字数の関係で最初のほうを削ってしまったのですが、本来は「教案作ったり教具作ったりという準備に時間がかかりすぎます。プライベートの時間が削られすぎです。私の能力不足もあると思いますが、もう少し効率のよい授業準備というのがあってもいいのではないのでしょうか? 教案のサンプル、イラスト・写真が豊富にあれば…」という感じでした。

 

もう、「お恥ずかしながらその通りです」としか答えられませんでした。

 

準備に時間をかけすぎてはいけないのですが、準備に時間をかけて最低賃金下回るのもどうかと思うんです。

あと契約の話をすると、非常勤講師の場合、「業務委託契約」が多いと思うのですが、それならば本来の業務(授業)以外である準備や採点など、付随する業務を行わせるのならその分のお金も払わないと、とも思います。

しかも、雇用契約業務委託契約のどちらなのかが気になります。後者だとすると労働者性の観点から仕事の依頼、業務従事の指示等に対して許諾・拒否が可能なのですが、日本語学校ではどうなんでしょう? 結構、業務従事の指示があるんじゃないかと思うのです…。

 

横道にそれてしまいましたが、とにかく、授業準備に対して給料は払ってしかるべきと思います。


せめて、せめて、1コマ分を「授業準備給」として支払うのはどうでしょうか?

 

1コマ分のコマ給を1,800円としましょう。
(1コマ45分とします)

日本語学校では1日4コマ(180分)が基本なので、

 

1,800×4=7,200

 

です。少し早く学校に来てコピーをしたり、昨日の報告書読んだり、プロジェクタの準備したり、そして従業後に報告書書いたり、プロジェクタ片付けたり、っていうのをかりに30分だと仮定して、3.5時間働いたとみなすと

 

7,200÷3.5=2,057.14円

 

です。

仮に授業準備に1時間かかるとすると、

 

7,200÷4.5=1,600円

 

2時間かかるとすると、

 

7,200÷5.5=1,309.09円

 

3時間かかるとすると

 

7,200÷6.5=1,107.69円

 

東京都の最低賃金は2022年9月で時給1,041円。
2022年は10月1日からは、時給1,072円です。

3時間以上かけて準備すると、最賃以下になります。

人によるのは重々承知していますが、私は3時間はかかるんじゃないかと思います。
特に日本語教師の新人の頃は。

だから「せめて1コマ分を“授業準備給”として加算して!」って思うのです。

このままだと「割に合わない仕事」と敬遠される可能性もあります・・・。グスン。

 

ちなみに仮に1コマ分を「授業準備給」として加算した場合、一日の支払い額は

 

1,800×5=9,000

 

です。

 

準備に3時間かかるとすると

 

9,000÷6.5=1,384.62円

 

となります。劇的な改善とは言えませんが、最賃を下回るリスクは減る気がします・・・。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。