くまーるブログ

あやしうこそものぐるほしけれ。

いろいろな人がいる


今日は、養成講座のお仕事でした。

養成講座で担当している授業の一つに「教育実習」というものがあります。

これは、実際に学習者役の外国人に来てもらって、その前で受講生さんが授業をするものです。

ここ近年、「教育実習」のメニューの一つに「『いろどり』を使って教える」というものがあります。

その際、必ずと言っていいほど問題が起きます。

「can-doを達成するための授業への理解がない」とかいった、教え方の問題ではありません。
むしろ、そういう問題は(私が見ている限りでは)ありません。

 

そうじゃなくて、『いろどり』を授業で使うためにダウンロードする際に問題が起きるのです。

 

「音声ファイル(“MP3(ZIP) ”と書かれているもの)」は圧縮された状態でHP内に置かれていますが、
解凍(展開)しないと音が聞けない場合、解凍の仕方が分からず困る方が一定数いらしゃいます。

 

同じく音関係なのですが、『いろどり』には「音声付きPDF」というものがあります。
これをダウンロードしても、AdobeAcrobat Readerなどがない場合、音声が再生できないのです。
いちばん多いのが、ダウンロードした後クリックすると、ブラウザで「音声付きPDF」が開くパタンです。
この場合、音声は再生されません。

 

「音声付きPDFは、各自のPCにファイルをダウンロードしてからAdobe Acrobat Readerで開いてください。
 ブラウザ上では音声は再生されません。タブレットスマホなどの携帯端末でも再生できません。」

 

とホームページに書かれていますが、これを読んでいない(見ていない)方、理解されていない方が多いのです。

「ダウンロードできて、ファイル開いたのに、音が出ない」

とおっしゃる受講生さん、一定数いらしゃいます。

「このタイプのアイコンだと開けても音出ないんですよ。

このタイプのアイコンじゃないと音出ないんです」

とは言えません。

AdobeAcrobat Readerが要るんですよ」

と言ったとしても、「何ですか、それ?」と言われます。

 

そういう方におすすめするのが、「音声付きPDF」じゃない「普通のPDF」をダウンロードしてそれを紙に印刷し、
スマホで「音声ファイル再生(MP3)」にある音声を再生することです。

 

それでも問題になるのが、ファイル名です。

「Z_L01」や「Z_L01_au」だけではわからない、とおっしゃる方もいます。


「Z_L01_au」のほうは「音声付きのPDF」のことなのですが、ファイル名だけではわからない方もいらっしゃいます。

 

「ファイルの大きさからわかるだろう」とか「"au"という文字でわかるだろう」

 

と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、わからない方にはわからないのです。

ダウンロードしたファイルがどこに格納されるかもわからない方もいらっしゃいます。

 

ということで、『いろどり』の準備の前の段階で作業がいろいろストップします。


私はただただ「今行きます~」と受講生さんの席に駆け付けて、一人ひとりの要望に沿ったダウンロードをしています。

とはいえ、「先生、助けて」とおっしゃった受講生さんには以下の作業を共通して行っています。

 

①デスクトップ上に「教育実習」というフォルダを作る
②「(音声無しの)PDF」と「音声付きのPDF」をダウンロードする
③音声ファイルをダウンロードする
④ダウンロードしたファイルを「教育実習」フォルダに移す
⑤音声ファイルを解凍する(そして解凍前のは捨てる)
⑥ファイル名を変える

 

この①~⑥を数分で行うのですが、それを見ていた受講生さんは決まって「先生、すごい」とおっしゃいます。
時短のためCtrlキーとの組み合わせとかは使っていますが、決して「すごい」ものだと思っていません。

でも、人によっては「すごい」と思えるんだと思います。

 

その一方で、『いろどり』のPDFをパワーポイントのスライドにして、音声をスイスイっと貼る受講生さんも多くいらっしゃいます。

 

何が言いたいのかというと、「いろいろな人がいる」ということなんです。

大袈裟ですが、言い換えると「いろいろな日本語教師がいる」とも言えます。

 

PCの使い方に慣れている人もいれば、そうではない人もいます。

他には、SNSをよく見る人もいれば、そうではない人もいます。

SNSに投稿する人もいれば、そうではない人もいます。

勉強会に出る人もいれば、そうではない人もいます。

 

そうそう。養成講座修了後すぐに日本語教師になる人もいれば、そうではない人もいます。
そして、養成講座を修了しても、ずっと日本語教師にならない人もいます。

 

養成講座の講師をしていると、「いろいろな日本語教師がいる」「いろいろな人がいる」ということにどう向き合うか、ということを常に考えさせられます。

 

考えても答えが出ないこともありますが、できるだけ、その時点での最適解を出したいと思っています。

少なくとも、その教室の受講生さんが笑顔で帰れることを目指したいです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。