くまーるブログ

あやしうこそものぐるほしけれ。

送受接続

「送り出し」と「受け入れ」の接続、という意味です。
「送り出し」とは現地の日本語学校や送り出し機関、「受け入れ」は日本の日本語学校や日本語研修施設のことを指します。

「高大接続」みたいな意味合いで使っています。

 

今月の東京滞在で、ノンネイティブの先生に会う機会がありました。

会っていろいろお話しているうちに、
ノンネイティブ先生向けの教師養成の必要性をさらに感じました。
日本に来て、日本語教師養成講座に通っている人もいますが、あくまでも日本語で日本語を教えることが前提となっています。現地語を使って現地語で教える方法については学ぶことはありません。

 

現地語を使って教えることは、効果があると思います。
イラストとか動画とか使って5分かけて説明する必要があるものが、1分、もしくは30秒で説明が完了することも多いです。
その点では効率的だと思うのです。

 

ただ、教科書選択がどうしても限定されてしまいます。
文型積み上げ式の教科書にならざるを得ないのです。

それは文型積み上げの教科書で学んだ人が現地国に帰って教えているから、というのも大きいでしょう。「文型積み上げの教科書以外での教え方に慣れていない」というのもあります。自分が学んだのが文型積み上げ式だと、新しい教え方で教えるのは大変なことだと思います。

 

そして、とある教科書には翻訳・解説が付いています。これ、結構大きいです。

母語で読んで理解できるということは、どれだけ大事なのことか」と思うのです。

 

そんな中で、「現地国・文型積み上げ⇒来日後・行動中心」という“役割分担”をしてもいいのかも、と思うようになりました。
現地の国で現地語で文法の仕組みをしっかり身につけ、短い表現をいくつか言えるようにしてから、来日後にそれを「カタマリ」にして話せるように、そして長めのやり取りができるようになるのがいいでは、と思うようになりました。

 

今日本で行動中心による学習をした学習者が現地国に帰った場合、もしかしたらその時点で現地国でも行動中心的な教え方が広まるかもしれません。なので、ここ10年の間に、現地国での教え方が変わる可能性もあります。

 

それか今後も、「現地国・文型積み上げ⇒来日後・行動中心」を継承しくかもしれません。いっそのこと、「現地国・文型積み上げ⇒来日後・行動中心」が定着してもいいのかもしれません。ただその場合、現地国から日本に来た時に、学習スタイルが変わることについてどうやって学習者に理解してもらうかが問題となる気がします。

 

 ①現地国での、現地語を使った教授法の確立
 
 ②「現地国・文型積み上げ⇒来日後・行動中心」のスムーズな移行方法

 

この2つが、私にとってのこれからしばらくの“課題”であります。

そしてできれば、現地国と来日後でできるだけ一貫したものにしたいのです。「送受接続」を「高大接続」みたいな意味合いで使っているのは、そのためです。現地は現地、日本は日本、ではなく、「日本でこういう教育をしているから、それへの準備となるような教育をお願いします」といった形で連携が取れるといいなと思うのです。もちろん、現地国にも様々な送り出し機関があり、日本にも様々な受け入れ機関があるので、そう簡単に連携は取れないのかもしれませんが、どこか繋がれるところでは繋がることができたら、と思います。

あとは、できるだけ現地の国にいるあいだに

「勉強の仕方」
「自律学習の仕方」
「“働く”ということはどういうことかを考える」
「自分の将来(キャリア)を考える」

ための訓練ができればな、とも思っています。

訓練というと大げさですが、とにかく理解をしてもらえたら幸いです。

(もちろん、学習者ばかりが負担をするのではなく、教える側、援助する側、雇用側が、外国人のことを今まで以上に理解する必要性もあると思っています)

 

なお、①については、現在関わっているバングラデシュでの送り出し機関でのお仕事で、先方さんからもお願いされていることの一つであります。とはいえ、私一人の知恵では限界があります。もし教えを拝借できるのであれば、お借りしたいです。情報交換だけでも結構ですので、ニシクマと“協業”してくださる方がいらっしゃいましたら、ご連絡くださいませ🙇