くまーるブログ

あやしうこそものぐるほしけれ。

主語と名詞修飾

「読解、特に文章を読んで理解するほうって、何が大事なんだろう?」

 

 自分自身『2分で読解力ドリル』という本を出しておきながら、時々考え込むことがあります。

 例えば、JLPTの読解問題の攻略法について、学習者の方、日本語教師の方から相談を受けることがあります。

 もろろんですね、

 ●漢字力
 ●語彙力
 ●文法力(文型理解力)
 ●社会的・文化的な背景の理解

は必要だと思います。

 

 「あとはそれ以外に何かあるのかな?」って思ったときに私の頭の中によく出てくるのが、「主語と「名詞修飾なんです。

「これがわかっていないと、文章の理解って難しくないかな?」って思うのです。どういうことなのか。ちょっと説明したいと思います。

 「主語」というのはどういうことかと言うと、日本語の場合主語がはっきり表れていないので、誰が行う動作なのかが分からなくなってしまい、文の理解が進まなくなってしまうことを意味します。

 

 その原因となるものには、3つ挙げることができます。

 1つめは、敬語です。敬語を使うと主語が明示されないことが多くなり、誰が行った動作かが分からなくなります。

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(「相談しないで」は「相談なさらないで」とすることも可能ですが、そのあたりは今回は目をつぶってください)

 

 2つめは、やりもらいです。やりもらいも主語を明示しなくても表現が可能なものであるため、誰の動作なのかが読み取りづらくなります。

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 3つめはヴォイスです。特に受身になると、「誰が何をしたのか」がわかりにくくなります。

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 主語については以上です。

 

 そして、 「名詞修飾」についてはまだ私自身ボヤっとしているのですが、あまり長い名詞修飾だとわかりにくくなるからではないかと思っています。母語話者にもわかりづらいものは、学習者にもわかりづらいと思います。

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 ということで・・・。
 読解のうち文章理解が苦手な学習者の方には、まずは「主語」と「名詞修飾」に対する苦手意識を克服する必要があるかな、と思っています。トレーニングをするには、『必ずできる! JLPT「読解」N3』の始めのほうにある練習問題が私としてはおすすめですが、もうちょっと量があってもいいかなと思っています。


 そして、日本語学習者の方でなくて、日本語母語話者の方でも、主語と名詞修飾については時々分からなくなることがあると思うので、日ごろから読解力が必要だなと思っている方もトレーニングをするといいんじゃないかと思っています。

 拙著の『2分で読解力ドリル』には『2分で読解力ドリル ちょっとやさしめ』もあるのですが、それよりももっとやさしくした、「読んで意味がわかった!」「全問解けた!」というような達成感というかスッキリ感が得られるような書籍を出せたらいいな、と思っています。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。