今日、2月16日は、「教育漢字の日」とも言ってもいい日です。
今から74年前の1948年(昭和23年)の2月16日、「当用漢字別表」が公布されました。
この「当用漢字別表」こそが教育漢字なのです。
戦後、漢字を制限する目的で日常生活の中で用いる漢字の範囲を示すものとして1946年(昭和21年)11月16日に公布されたのが「当用漢字表」。
「当用漢字表」に掲げられている漢字の数は1850。そののうち 881字が「当用漢字別表」、すなわち教育漢字として選ばれました。
(画像は文化庁のホームページより。日付は答申日なので1948年ではない)
ちなみにその後、
1958年(昭和33年) 「学年別漢字配当表」という名称に
1968年(昭和43年) 115字が暫定追加 ※実施は1971年度(昭和46年度)
1977年(昭和52年) 115字が正式追加され、996字に。 ※実施は1980年度(昭和55年度)
1989年(平成元年) 20字が追加、10字が削除され、1,006字に。 ※実施は1992年度(平成4年度)
2017年(平成29年) 都道府県名に含まれる20字が追加され、1,026字に。 ※実施は2020年度(令和2年度)
という変遷を遂げています。
さて、そんな日に、偶然にも日本語教育関係の方のTLを騒がせた動画がありました。
[漢字mission!]
そして私のツイートです。
漢字ミッション、見てみました。
— Kumar(西隈俊哉) (@route2490) 2022年2月16日
(日本語学校の職員室から離れられないので音消しで)
いい考えだと思います。選択肢の一つとしてはアリなんじゃないでしょうか。
日本語学習者向けにアレンジするならどうすればいいのか、現時点での想像(妄想?)をしてみたいと思います。https://t.co/qSgvAIU5Dt
実に素晴らしい動画でした。
小学生が日ごろの学習で使っている「漢字ドリル」についての疑問点を挙げ、それに代わる新しい漢字学習ツールを考え出したことには驚くばかりでした。
ただ、発想はいたってシンプルで、マンダラートを使っているだけなんですよね。
盲点でした。私でも気づけるものだったのに(笑)
発想は、「気づいたもん勝ち」ですね、やはり。
関係ないけど「漢ミツ」と略せるところがスゴい。
私も名前を付けるときは「省略ができるか、省略が呼びやすいものか」ということを気にします。
(「ロジトレ」も実はそうなんです。名称にはこだわりました)
そして、そしてです。
日本語教師の端くれとしては、日本語学習者向けに作れたらいいな、と思うわけでして。
そこで、「漢字mission!」を日本語学習者向けにアレンジするならどうすればいいのか、現時点での想像(妄想?)をしてみました。
①日本語学習者向けには、音読み訓読みの区別は要らないと思います。その一方で、学習者向けの「読み」は必要かと思います。
例えば、「失」の場合「シツ」だけでなく「シッ」の読みも追加
「敗」の場合「ハイ」だけでなく「パイ」の読みも追加
これは私が昔からこだわっていまして、母語話者には「失」が「シツ」と読むとき(例:「消失」)と「シッ」と読むとき(失策)をほぼ無意識に判別できますが、学習者にはそうはいかないと思っています。
上掲の写真は拙著(ただし共著)の『パターン別徹底ドリル 日本語能力試験 N3』なのですが、学習者向けに本来は取り上げることのない読み方(促音とか濁音とか半濁音)を入れています。
また、「建物」「受付」「立場」のような特別な読み(慣用により許容されている読み方)の情報を追加するスペースが欲しいなと思いました。こういう漢字も学習者にとっては理不尽です。
例えば「建」の場合は
ケン(建設、建材、封建)
コン(建立)
た・つ(建つ)
た・てる(建てる)
までは漢字辞典に登録されていますが、学習者向けには
だ・て(一戸建て)
たて(建物、建具、建前)
も読みとして入れてほしいのです。
②日本語学習者向けには、部首じゃなくて「パーツ」にわけることを実践してもらうのがいいかな、と思います。
「失」の場合、例えば「ノ」「一」「大」に分解。
もちろん分解しなくて「失」として理解してもらってもかまいません。
「敗」の場合、例えば「目」「ハ」「ノ」「又」に分解。
もちろん「貝」「攵」に分解でもかまいません。
③「自分から調べる」には賛成です。
漢字に関するインターネットサイトは山ほどあるので、形や意味は自分からアクセスして調べてもらえたらいいなと思います。
ただし、例文を作るのは大変な場合があるかもしれません。
日本語学習者向けには、自分で例文が作れない場合、インターネット上を検索して例文を見つけてもらうのがいいかなと思います。
④「達成感」「続けられる」あたりは学習者次第かなと思います。
うまくやらないと、達成感が得られなかったり、続けようという気持ちにならないかもしれません。
「漢字mission!」自体をすることが学習者への「押し付け」にならないようにしたいものです。
⑤「書いて覚える」について、私の考え
私は、「空書でもいいから何回か漢字を書いてみるっていうことは大事だ」と思っているタイプの人間(古いですかね…💦)です。
だから、やっぱり「漢字を何度か書く」っていうことは必要だと思うのですが、きょうび、もう必要ないんでしょうかね…。
そう思ってもう一度ゆっくり動画を見てみたら、「漢字mission!」って手書きで作ってるんですよね。しかも「土」なら「土」の入った熟語や例文を書き込むことでおのずと何回も書く練習をしたことになっています。
これなら、「漢字を何度か書く」ということになっているのかもしれません。
さぁ、私も日本語学習者向けの「漢字mission!」を作ってみようかな。
でもきっといろんなお仕事で忙殺されているうちに「作りました!」っていう人が現れる予感しかしません(笑)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。