ちょうど1年前に、このようなことを書きました。
https://nkuma2490.hatenablog.com/entry/2021/04/12/091002
ロジトレには理由を述べる練習をするところがあり、
今、とてもおなかがすいています。
なぜなら、__________________からです。
という部分の「~からです」の部分をこちらが思うように書いてくれない、という話でした。
“「ですから」「ますから」の威力(呪縛?)が強すぎる~!”という思いなのですが、
その理由は初級教科書にそのように載っているからではないか、という仮の結論を出しました。
たとえば、「『みんなの日本語』9課 練習B 8」に
どうして、京都へ行きませんか。…約束がありますから。
のように載っているのです。
“「~からです」は初級の教科書では全く扱っていないのか、気になる”というような形で1年前のブログは締めくくっているのですが、これについて naotaro(直太朗)さんが解き明かしてくださっていました。
(リンクの貼り付けにつきましては、御本人より許可をいただきました)
naotaroさんによりますと、
『みんなの日本語』44課において「普通形+からです。」が出現しているそうです。
さらに48課には「普通形+からだ。」もあるとのこと。
「~からです」を自分でも調べてみました。
p.161「問題」の「読み物」のところですね。
難しい言葉は覚えにくいし、まちがえやすいからです。
うわ、ほんとだ。
どうしても松本さんの着物姿に目が行ってしまいがちですが、きちんと確認できますね。
「~からだ」のほうも見てみましょう。
体が丈夫になるからだ。
ありました、ありました。
同じく、p.195「問題」の「読み物」のところですね。
いや~。
しれっと現れてる。
『翻訳・文法解説』や『教え方の手引き』も見てみたのですが、「~からです(~からだ)」についての言及はありませんでした。
う~む・・・🤔
(考え中)
敢えて共通点を指摘するとすれば、「読み物」であることでしょうか。
もしかしたら、『みんなの日本語』では、「書き言葉」においては「~からです(~からだ)」が現れることがあるよ、ってことを暗に述べたいのでしょうか・・・?
真相のほどはわからないのですが、ある意味「気づかないカリキュラム」的なものを感じます。
これから『みんなの日本語』ユーザーの学習者がロジトレを行うときは、今後は44課・48課への言及が必要ですね。
さて、私が今関わっている日本語学校では『できる日本語』を使っています。
そこで『できる日本語』ではどうなのか確認してみました。まずは「から」の初登場から。
(これについては去年のブログでも書きました)
初級5課
本冊p.92[ST-2]
A:Bさん、パソコンを買いましたか。
B:いいえ、買いませんでした。
A:どうしてかいませんでしたか。
B:高かったですから(、買いませんでした)。
「~ですから」が登場です。
念のために、別冊と文法ノートも調べてみました。
初級5課
別冊p.19
忙しかったですから、朝ごはんを食べませんでした。
昨日は夜10時まで仕事でしたから、晩ごはんを作りませんでした。
初級5課
文法ノートp.30
今朝、10時に起きましたから、朝ごはんを食べませんでした。
明日、テストですから、今晩、家で勉強します。
「(動詞)ましたから」と「名詞+ですから」も登場しています。
その後の課ではどう表れているのでしょうか。追ってみましょう。
初級9課
本冊p.160[ST-2]
私は上手に漢字を書くことができませんから、書道を習いたいです。
初中級6課
別冊p.52
もうかばんに入れてありますから、大丈夫です。
丁寧形に「から」が付いているなぁ・・・。
そして、「~からです」が現れます。初中級の14課です。
初中級14課
本冊p.196[ST-3]
ハンカチは涙を連想するものだからだよ。
初中級14課
別冊p.55
財布の中にお金が入っているとお金が増えると言われているからです。
初中級14課
文法ノートp.131
お風呂に入った後で、体が冷えやすくなるからです。
「~からだ」も同時に出現します。
「おお、でき日すごい!、『~からです(~からだ)』を扱ってるじゃん!」と狂喜乱舞するのですが、
14課というのがね…💦
あと1課で初中級終わってしまうんです。
この後は中級です。
「遅すぎないかなぁ」という気がします。
今年の初めぐらいに、『できる日本語』の中級を勉強中の学習者に「~からです」を使って理由を述べてもらう練習をしたのですが、やはりうまく言えないんです。「歩きますからです」とか「便利ですからです」みたいな感じで表現する学習者が一定数いて、驚きました。
「遅すぎるのでは」と思うのはみん日も同じことです。
私の推察では、普通形を習った後に「普通形+から」を扱わないで、ずっと「丁寧形+から」のままで表されていることが、学習者の化石化を引き起こしているのではないかと思うのです。
教師としても「~ますから」「~ですから」を知らず知らずのうちに多用してしまい、学習者にインプットを与えてしまっているのかもしれません。断定してはいけませんが、教科書でこういう風に扱われていると、それがインプットとして入ってきた学習者は「~ですから」「~ますから」をアウトプットしやすくなるな、と思いました。
とにもかくにも。
ロジトレで理由の表現をやるときに、「~ますから」「~ですから」という表現が発生し、私はいつもあたふたしてしまいます…💦
最後に、私からの呼びかけです。
「から」と「普通形」の両方を学習したら、
「普通形+から」をやりましょう。
そして、「~からです」もやりましょう。
よろしくお願いいたします🙇