くまーるブログ

あやしうこそものぐるほしけれ。

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凡人社オンライン日本語サロン研修会


文法の理解から読解へつなげよう―『必ずできる!初級「読解」入門』―

 

に参加しました。

 

私自身『2分で読解力ドリル』という本を出していること、そして日本語学校で読解の授業を担当していることから、今回の『必ずできる!初級「読解」入門』の発行はとても興味があるものでした。

 

実際に購入して自分で使い方を考えてみたのですが、どうしても意図がわからないところがあります。
こういう時は著者の方に直接話を聞くのがいいですね。
今回のセミナーの参加で、この本の意図がよ~くわかりました。

 

印象的だったものを、1つ。

 

『必ずできる』の著者の先生方は、社会通念(常識などをはじめとする、私たちが経験上知っているもの、という理解でいいと思います)をもとに文章を理解しイメージすることの大事さも述べていましたが、場合によっては文法知識が大事なときもあると述べたかったようです。具体例を挙げます。

(ちょっと引用してしまいますがお許しを・・・)

 

1.映画が始まる前にトイレに行った。

→トイレに行った人は?

 

2.友達が来る前に掃除をした。

→掃除をした人は?

 

3.友達が来る前に花を買った。

→花を買った人は?

 

上例の1~3では、1は「私」だとわかる(と思う)のですが、2は社会通念でもって「自分の家に友だちを呼ぶ。家が汚い。じゃあ掃除」となり、だから「私」となります。しかし、3は「Aが友人Bの家に呼ばれた。(友人Bのために)花を買って持っていこう」と社会通念でもって考えると「誰が」を間違えてしまう。だから文法の知識(「~前に」の文では「が」を使う)ことが大事だと『必ずできる』の先生方は述べていました。


2つめは、全体を聞いて私が思ったことです。

 

それは

「文章を読んだり、イラストを見たりしたとき、全体の状況・場面をどのイメージできるかということが大事なんじゃないか」

 

ということです。そして付け加えるのなら、

「イメージしたものと、文法や語彙を結び付けられるか」

ということです。

 

例えばこの絵を見た場合、

女の人が男の人にお金を貸してほしい(or男の人からお金を借りたい)ということをまずイメージする必要があるのですが、これをどう表現するかですよね。例えば、以下の①~⑥が現れる可能性があります。

 

①「お金貸してくれませんか」
②「お金を借りたいのですが」

 

③「お金貸してほしいです」
④「お金を借りてもいいですか」

 

⑤「お金貸してもいいですか」
⑥「お金借りてください」

 

⑤⑥がおかしいのは言うまでもないでしょう。
「イメージしたものと、文法や語彙を結び付けられるか」
において、正しい結びつけができていないことがわかります。

 

③④についてはどうでしょう。
こういう結び付けをする学習者もいるかもしれません。
「意味は通じるけどこの場面では使わない」という理解も大事だと思います。

ということで、①②に結び付くように教師が支援するのが読解の授業かな、と個人的には思っています。

 

そのためには今回の『必ずできる!初級「読解」入門』の練習問題を数多く解く必要もありますし、イラストをみて描写する練習(手前味噌ですが『ロジトレ』にもそういう練習があります)を積み重ねる必要があるかな、と思います。

 

文法にしろ語彙にしろ、
「こんなときにこう言う」というのを覚えて増やしていくのが大事かなと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。