くまーるブログ

あやしうこそものぐるほしけれ。

交差点で見かけた南アジアの人たち


前回投稿から1週間空いてしまいましたが、

韓国旅行編、第3弾です。

 

韓国滞在中にソウルから釜山へ行きました。

 

しかし、折から接近中の台風6号の影響で、釜山は
も時折強く吹いていたので、まともに観光ができませんでした。

南浦洞などの繁華街に行ってみましたが、人はほとんどいなく、閑散としていました。

 

「どうしようかな」と思ったとき、釜山港の国際旅客ターミナルが新しくなったのを思い出し、そこに行ってみることにしました。

シャトルバス等があるみたいですが、おそらく台風の影響で国際船は欠航でバスは出ていないだろうと思ったので、雨の中トコトコ歩いて国際旅客ターミナルを目指しました。

 

すると、交差点で自転車に乗っていて信号待ちをしている人が大勢…。
韓国では自転車に乗る人は少ないので、これだけ多くの自転車に乗っている人を見るのは初めてでした。

そして仕事柄なのでしょうか、この距離でどこの国の人かが予想できます。

おそらくネパールか、スリランカバングラデシュか…。
その辺りの南アジア出身の人だと思いました。

信号が青になって彼らとすれ違いましたが、しゃべり声からおそらくネパールだろうと思いました。

 

南アジア系の人を初めて韓国で見たのは、
8年前に韓国に行ったときだったかな。

養成講座の元受講生に会うために、世宗特別自治市という、当時新しくできた街に行ったのですが、そのときに見ました。
新しい街なので、あちこちで道路工事をしていました。
その工事現場で働いていたのが南アジア系の人でした。

 

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、韓国でも少子化等の関係で、労働力が不足しており、それを外国人に頼っている面があります。

韓国には、「雇用許可制(고용허가제/Employment Permit System;EPS)」というものがあります。

 

韓国における雇用許可制とは?

《韓国の雇用許可制度》働き手を送り出す国と韓国政府が協定を結んだ上で、期間を区切って外国人労働者を受け入れる枠組み。 送り出し国は、韓国で働きたいと希望して韓国語の試験に合格した人のリストを韓国に送る。 韓国政府は、国内の雇用情勢を踏まえて、受け入れ業種と人数枠を国別に設定。

朝日新聞デジタル(2021/03/21)より引用。


韓国の雇用許可制は、よく、日本の技能実習制度や特定技能と比較されます。

細かい比較をするのは置いておくとして、この制度によって非専門職人材の外国人が韓国で働いています。

 

この制度によって韓国で働いている人にはどのような韓国語力が必要とされているのか、気になりました。とある論文によると、以下のように書かれています。

 

EPS で韓国に入国し労働するには、2つの過程を経なければならない。1つ目は、EPS-TOPIK(Employment Permit System-Test of Proficiency in Korean)を受験し合格することである。

〔吹原豊,松﨑真日,助川泰彦(2016)「韓国の雇用許可制語学試験(EPS-TOPIK)からみた就業前の言語習得について」『福岡女子大学国際文理学部紀要 (5)』pp.121-140 より引用〕

リンク:https://fwu.repo.nii.ac.jp/record/3055/files/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%A0%94%E7%A9%B605_p121_140_[PDF].pdf

 

上記論文にEPS-TOPIKの概要が書かれていますが、以下の論文でも概要が分かります。

 

松崎真日,吹原豊,磯野英治,助川泰彦(2022)「移住労働者の現地言語能力についての考察-雇用許可制韓国語能力試験の模擬試験結果から-」『日本語研究』40,pp.111-125

https://tokyo-metro-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=8966&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1

 

雇用許可制語学試験(EPS-TOPIK)がどんな試験なのかは上記論文から知ることができるので、興味のある方はお読みください。

 

そして、「雇用許可制語学試験(EPS-TOPIK)に合格」がどのレベルにあたるのかと言うと、CEFRのA2に相当するということです。以下の論文に書いてありました。

 

熊野七絵・戸田淑子・安達祥子(2021)「「国際交流基金日本語基礎テスト」の開発-生活場面でのコミュニケーションに必要な言語能力(A2レベル)を判定するCBT-」『国際交流基金日本語教育紀要』第17号

https://www.jpf.go.jp/jft-basic/report/pdf/kiyou17_kumano.pdf

 

そして、雇用許可制語学試験(EPS-TOPIK)は韓国入国前に合格する必要があるため、そのためには母国で韓国語を勉強する必要があります。吹原,松﨑,助川(2016)「韓国の雇用許可制語学試験(EPS-TOPIK)からみた就業前の言語習得について」によると、

 

ところで、EPS 希望者はEPS-TOPIK で基準得点を満たすことがまず重要であるため、受験前に韓国語の学習をおこなうことになる。多くの場合、私設の語学学校に通う、家庭教師から韓国語を学ぶ、独学をするなどである。基本的にEPS-TOPIK の受験者は各自で対策を立て韓国語を学習する。雇用許可制で働くインドネシア人労働者を対象とした聞き取りでは、EPS-TOPIKの対策として語学学校で勉強した者、独学した者がいた。語学学校で勉強した経験のある労働者の話によればEPS-TOPIK に特化した韓国語授業をおこなう語学学校があるとのことであった。

 

と書かれており、渡韓前に勉強するらしいです。

 

ちなみにEPS-TOPIKためのテキストは以下にあります。

https://epstopik.hrdkorea.or.kr/epstopik/book/self/ebookIndex.do?lang=en

 

あと、非公式だと思うのですがEPS-TOPIKための音源や解説動画がYouTubeに上がっています。

 

以下のリンクは、聴解問題の対策動画の1つです。

 

 

と、ここまではネットで検索できるのですが・・・

 

①韓国に来てからは受け入れ施設的なところはあるのか
②EPSで来た外国人はどういうところで暮らしているのか(寮みたいなところ?)
③韓国で働き始めてからの韓国語学習/韓国語教育はどうしているのか

 

がわかりません。

 

特に、個人的には③が気になります日本語能力試験(JLPT)にあたるものに、韓国語能力試験(TOPIK)がありますが(下記に注)、EPS-TOPIK合格者であるEPS労働者に対して、雇用主がTOPIKの3級以上を受けさせているのかとかが気になります。また受ける際の勉強の支援をどうしているのかとかも知りたいです。

 

【注】
TOPIKは1級が初級に相当し、6級が一番上の級。
詳しくは以下のHP参照。

 

 

私が運営に関わっている「一般社団法人 日本語フロンティア」は、事業の一つに「配属後の技能実習生や、特定技能で働く外国人の日本語教育」があります。配属後の技能実習生や、特定技能で働く外国人の日本語教育については手探りの部分が多いです。今のところJLPT対策をするか、教科書を使って教えるにしても、一部の教科書(『ゲンバの日本語』や『人とつながる 介護の日本語』など)に頼らざるを得ません。正直、どんな日本語を教えればいいのか、戸惑っています💦

 

なので次に韓国に行くときは、EPSで来た外国人を受け入れている韓国企業を訪れたり、EPSで韓国に来た外国人に会ってみたりしたいな、と思います。

 

でも全然ツテはありません。もしこれを読んでくださった方で、何か情報をくださったり、紹介してくださったりする方がいらっしゃいましたら、ご連絡をいただけますと幸いです

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。