くまーるブログ

あやしうこそものぐるほしけれ。

「ある」と「ない」

 

5月に香港に行ったのですが、コロナ期間にずっと抑えていた海外旅行熱が吹き出ししまいまして・・・。
帰国後、勢いで韓国行きのチケットを取ってしまいました(笑)

 

そして8月になり、韓国に。
韓国では特に予定を決めずに過ごすことにしました。
出発日が近づくにつれ、台風が韓国を縦断する予報になったのもあり、「もう、その日の気分で決めちゃおう」といういい加減な旅行です(笑)

↑出発日の予報。実際に、こんな感じで縦断していきました💦

 

実際どんな旅行だったかはひとまず置いておくとして・・・。

今回の韓国旅行で感じたことを数回に分けて書いてみようと思います。

 

旅行での頻度が高いことの一つは、買い物だと思います。

店員さんと何らかのやり取りをしなければなりません。
近年だと袋が有料の国が多いので「袋要りますか?」みたいなことは必ず聞かれます。

 

今回とあるコンビニで出会った店員さんは

「봉투 필요하세요?(袋要りますか)」という韓国語を言いながら両手でビニール袋の形を空中で描くジェスチャーをしてくれました。

 

こういうさりげない行動が、言葉が分からない場合は助かります。

さて、支払いも無事済ませてお店を去るとき・・・。

日本の場合は、店員さんが

「ありがとうございました」

とか

「またお越しくださいませ」

と言いますが、お客さんのほうは何も言わないですよね。

 

でも韓国の場合、お客さんのほうも何か言うことが多いです。

例えば、店員さんが店を去ろうとするお客さんに

 

「감사합니다(カムサハムニダ =ありがとうございます)」

 

とか

 

「안녕히 가세요(アンニョンヒ ガセヨ =さようなら) 」(※注1)

 

ということが多いです。

 

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【注1】

韓国語の「さようなら」は立場によって2種類あります。

「안녕히 계세요(アンニョンヒ ゲセヨ =さようなら)」はその場に残る人が、去る人に対して使います。

去る人が残る人に言うのは「안녕히 가세요(アンニョンヒ ガセヨ)」です。

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そのように言われて、無言で店を去っていくのもアリなのですが、韓国人の中には

 

「안녕히 계세요(アンニョンヒ ゲセヨ =さようなら)」

 

とか

 

「수고하세요 (スゴハセヨ ※注2)」

 

と言って去っていく人が結構います。

 

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【注2】

「수고하세요 (スゴハセヨ)」は本来「お疲れ様です」にあたる韓国語なのですが、この場面では「(お仕事)がんばってください」みたいなねぎらいというか応援の気持ちというかなんというかそういった感情を表す言葉であります。

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国語学習では、いつも「言葉がある」ものばかりが目に行きがちです。
一対一の関係になっているものというか、対応があるものというか、そういったものを中心に学んでいる気がします。

でも、外国語の中には、自分の言語の中には「言葉がない」もしくは「そういう言動がない」というものもあります。

日本では、お客としての自分が店を去るときに店員さんにかける言葉が「ない」のです。

「さようなら」だと変だし「お疲れ様です」も変。
「ありがとう(ございます)」とこちらからも言うのがギリギリ合格(?)でしょうか。

 

自分の経験上、韓国以外の国でもお客としての自分が店を去るときに店員さんにかける言葉は「ある」と思うのですが、日本だと「ない」のです。

 

国語学習って、こういった「ある」「ない」に目を向けるのも大事だな、と思っています。

 

逆に、他の言語には「ない」んだけど、日本語に「ある」と思われるのが、人に体の一部が触れた当たったぶつかったときの「すみません」かな。

韓国では人混みでちょっと当たったぐらいでは何も言わないような気がします。というか、そういうときの表現が思いつきません。もちろん「미안합니다(ミアナムニダ)」「죄송합니다(チェソンハムニダ) 」などがあるのですが、なんか重たい感じがします。自分が明らかに悪いときなら使ってもいいのではないかと思いますが…。

 

ビジネス的なもので言えば、「いつも大変お世話になっております」でしょうか。これも日本語に「ある」ものですね。韓国語も含め、他の言語だと「こんにちは」で済んでしまいます。

 


話を無理やり日本語教育のほうに持っていきます。

 

日本語を学習するとき、上記のような「ある」に関しては注目されることが多く、多くの教師の方が授業のどこかで触れると思いますが、さらに前に書いたような「ない」に関しては、あまり注目されないと思います。「こういうときにはどう言う?」だけじゃなくて「こういうときには言わない」というのにも注目する必要があるかな、と思いました。

 

そこで私への宿題です。

「こういうときには言わない」という場面は、日本語では他にどんな場面があるのか探してみようと思います。
このブログを書いている時点では「お客としての自分が店を去るときに店員さんにかける言葉」以外に見つかりません…💦

 

読者の方で「こういう場面は?」というのがありましたら、X(Twitter)にてご指摘をいただけますと幸いです🙇

最後までお読みいただき、ありがとうございました。