決める-決まる
上げる-上がる
受ける-受かる
などの他動詞と自動詞のペアがあります。
その一方で、「買う」「読む」などの他動詞は、ペアとなる自動詞がありません。
「覚える」もその1つで、ペアとなる自動詞がありません。
でも、私が住んでいる愛知県では「覚わる」という言い方があります。
「全然漢字が覚わらん」のように使います。
(意味=「全然漢字を覚えられない」)
手っ取り早くネットの辞書『デジタル大辞泉(小学館)』を調べてみるのですが、載っていないようで結果が反映されません。その代わり『日本国語大辞典』(小学館)には載っているようで、
おぼわる(おぼはる)【覚】他動詞ラ行五段活用
「技術などを学んで体得する」の意
という説明があります。
一応辞書にはあるものの、方言の可能性もあります。
以前、「方言オノマトペ」の話をしましたが、どうも「方言自動詞」なるものもあるのかもしれません。例えば、こういうものもありました。
鍛わる(きたわる)
「鍛えられる」の意味で用いられることのある言い方。 標準語にはない語彙であり、岐阜県下で特に用いられることが多く、その他の地域で用いられることは少ないため、方言とみなされる。
Weblio辞書には「鍛わる」の意味や使い方として、上記のような説明が載っていました。方言のようです。
他にもこういうものがあるかどうか、調べてみました。
干さる(←干す) 例文:芋がよく干さった。
蒸さる(←蒸す) 例文:(蒸し暑い日の挨拶として)今日はえらい蒸さるなあ。
などは辞書に載っていませんでした。なので方言の可能性が高いです。
でもどこの方言かはわかりません。
変わり者では九州・熊本の方言とも言われる「たまがる」でしょうか。「たまげる」と同じ意味なのですが「たまがる」が存在します。別に自他のペアにはなっていないようです。
そして方言かなと思っていたものが、辞書に載っていた場合もありました。
結ばる(←結ぶ) 例文:縄が固く結ばっていてほどけない。
ということで、これも要調査です。
私の予想では「覚わる」のように古語では存在したものが現在に至るまでに姿を消したけど、特定の地域で残ってしまったのではないかと考えます。
それとこれらの自動詞に共通している意味特徴は
受身の意味(影響を受ける、の意味)
自発の意味(自然にそうなる、の意味)
上記のどちらか、またな両方の性格を持っていることです。
『子どもの語彙を豊かにする指導』(著者: 宮腰賢)によると
植える-植わる
花を生ける-花が生かる
判を捺す-判が捺さる
布団を敷く-布団が敷かる
毛布をたたむ-毛布がたたまる
という例も載っていました。
「植わる」「生かる」は『デジタル大辞泉(小学館)』にも載っていましたが、あとは載っていませんでした…。
わからないものだらけです…。
まだまだ、いろいろ調べないといけないですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。