くまーるブログ

あやしうこそものぐるほしけれ。

ボケて!

 

「ボケて」といえば、1枚の画像に対しておもしろいセリフやタイトルを付けるものを集めたサイトです。

 


しかし、今回お話ししたいのはそっち方面じゃなくて、授業中における教師の振る舞い方についてです。

 

授業というものはどうしても飽きてしまうものだと思っています。

好きな勉強であっても、45分という授業時間をずっと飽きずに過ごすことはめったいないんじゃないかと思います。
ふと外を見てしまったり、時計を見てしまったり、前や隣にいる別の学生をチラッと見てみたり・・・。

 

教師も教師で、学生を飽きさせないようにあの手この手でがんばって授業をすると思います。
その「あの手この手」にはいろいろあると思うのですが、私が取り入れているのが「ボケ」なんです。

どんな感じかというと、

 

12時半までが授業時間なのに「じゃあ、今から漢字の練習しましょうか、1時まで」と言ってみるとか、

「はい、今日欠席の人は手を挙げてください」と言ってみるとか。

 

ペンを持って話をしながら窓の近くまで行き、さりげなくペンを置きます。その間も私は喋っています。
喋りながら元の位置に戻ります。そして次の問題を・・・と言って動作を止めます。
そして、焦ります。「あれ! あれあれ?! ペンはどこ?」と言って探し始めます。
大げさにポケットの中に手を入れたり、小さくジャンプしてみたりと、無意味なこともしてみたりします。
場合によっては両手を横にして「お手上げ」のポーズをしてみたりします。
どこかのタイミングで学生が「先生、そこにあります」と教えてくれます。

 

こういうことがキライな方にとっては何の興味もわかないと思います。
すみません。

興味がわいた方だけ、読み進めてください。

 


こういうのもボケになるのかな。今日はこんな感じで学生とやり取りをしました。
今日の授業はレベルは中上級でほぼ全員N2ぐらいのレベルの学生たちなのですが、
「こんなときはどう言う?」というのを考える授業をしていました。

お題の1つが「授業中、消しゴムを忘れたことに気づいたので隣にいる仲の良いクラスメートに消しゴムを借りたいときどうやって言えばいいか」というものでした。

「消しゴム貸して」とか「消しゴム借りたい」というような感じでどんどん出していってもらったのですが、
ある学生が「『消しゴム忘れちゃった』と言うのはいいですか?」と自信なさそうに聞いてきました。
私は「大丈夫ですよ、その言い方でも意味は通じます」と答えました。

普通ならここで話を終えて「他に意見のある人~?」とか「じゃあ、次のシチュエーションについて説明しますね」という感じで次の工程に行くと思うのですが、私は話を終えずに、こんなことを言いました。

 

「『消しゴム忘れちゃった』と言ったあと、隣にいるクラスメートが『そうですか。それは残念ですね』と言うと思いますか?」

こう言うと、学生が全員笑いました。

 

私にとってはこれがチャンスでもあります。全員こちらを向いてくれているのです。
こういうときだとこっちの話を聞いてくれるときも多いので、ありがたいのです。

ということで、ちょっとしたボケをすると、学生は教師のほうを見てくれます。
もし存在の表現を勉強した直後なら、先ほどの「先生、そこにあります」と言ってもらうための一連のボケは仕込み甲斐があると私は思っています。

 

もちろん、学生の中でも先生がボケているのをみて「まじめじゃない」と思うかもしれません。また、ボケているのに気づかない学生もいます。
だから必ずしも「ボケるのがいい」とは思っていません。


学生にこちらに向いてもらえる方法は、他にもあります。
他の方法で上手くいっている方は、そちらを引き続きやっていただいたほうがいいかもしれません。

 

一方で、ボケても大丈夫な雰囲気が教室内にあり、自分としても時々でいいからボケてもいいかな、と思ったら、ボケてみてください

 

ちなみに、パントマイム的な動きや、大道芸人さん(及びクラウンの方)の喋りや動きも、とても参考になります。人を引き付けるためのテクニックを多分に持っていらっしゃいます。ボケることにハードルの高さを感じる方も、パントマイム的な動きなら「やってみようかな」と思えるかもしれません。

 

ということで、「ボケて」を中心としたお話でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。