くまーるブログ

あやしうこそものぐるほしけれ。

デジタル協業

 

 先日(6月15日)、『日本語能力試験(JLPT)対策 介護のN3』という書籍が出版されました。

 


 この本では私は、本の企画と、製作のお手伝いをいたしました。

 今回は、企画と製作についてちょっと書き記しておこうと思います。

 

 今からさかのぼること3年前。
 ちょうど新型コロナウィルス感染症の流行が始まり、ロックダウンとか行動制限とかいろいろなされている頃でした。

 外国人の来日もストップし、私の仕事も大幅に減りました。
そのため自分で考える時間が生まれ、その時間の中で「外国人介護人材向けの問題集が作れたらいいな」ということを思いました。

 

 「外国人の来日もストップし…」と書きましたが、実は介護人材の来日だけはストップしていませんでした。EPA介護福祉士候補生は入国していたのです。それだけ重要性が高いものだからだろうな、と私は思っていました。

 EPA介護福祉士候補生に限らず、介護の現場では多くの人材を必要としています。その中でも外国人の必要性も高いです。そのような中で言葉の問題はクリアしなければ問題の1つだと思っていました。

 そこで、企画書を作りました。
 だいたい、書籍を出版社に出してほしいとお願いするときは「企画書」というものを作って出版社に見せる、ということをします。

◆これは「企画書」の前の段階の「構想」をまとめたもの。


 幸い、企画書を読んで、出版にOKしてくださる出版社がありました。
でも、コロナの影は深刻で、さまざまな業界にダメージを与えていました。
 出版業界とて例外ではありませんでした。
 よって、出版においてもスケジュール通りにはいかないだろうな、という予想のもと、製作を開始しました。


 練習するための問題自身はある程度作っていたのですが、問題の精度を上げる必要があります。作り手にとってはいい問題でも、解くときに何か障害が発生する可能性もあります。また、実際に日本語教育、または外国人介護人材の支援をしている方々、はたまた介護業界に身を置いている方々にも、この問題を客観的な目で見てもらう必要があると思いました。

 そこで、SNSを使って声をかけてみたのです。

 

◆上記画像はTwitterでの呼びかけ例です。ほかにFacebookでも呼びかけてみました。


 15人ぐらいの方に反応をいただき、Chatwork(Slackみたいなチャットツール)を使って協同作業を行うことにしました。

 メンバーの中には、私と顔なじみの方もいれば、会合等で顔見知りの方もいました。そして、ネットの中だけで仲良くしていて、直接はお目にかかっていない方もいました。住んでいる場所も日本全国バラバラで、海外にお住まいの方もいました。

 でもありがたい時代です。Chatworkを使って、問題の精度を上げるための試用の報告をしたり、問題の選択肢のチェックをしたり、時には意見交換もしたりと、直接顔を合わさなくても作業を進めることができました。

 

 文字による部分だけでなく、イラストについても、ネットでのつながりに助けてもらいました。たまたまネットでつながっていた方に「私、イラスト描いてまして…」とイラストを見せていただきまして、「是非に!」となった次第です。

 

 なので、製作の大部分を「デジタル協業」という形で行いました。それから、ちょっと時間はかかりましたが、構想から約3年を経た6月に、『介護のN3』が出版されたのです。

 実は、この「デジタル協業」というのはわたしの夢の1つでもありました。日にちを決めて大勢が集まって打ち合わせ・会議を行う、ということに疑問を持つことも多かったです。ちょっとしたことでもいちいち集まり、しかも大部分が無駄話になってしまうこともしばしば。そんな打ち合わせ・会議に嫌気がさしていたのです。もちろん、対面で打ち合わせ・会議を行うことには意義があるのでしょうが、その前に効率を重視したかったのです。
 それと「対面で打ち合わせ・会議を行うことには意義がある」という中には「対面で行うことで絆や連帯感が生まれる」という考えもあるでしょうが、それならば最初からなんらかのつながりがある人に集まってもらえたらそれでいいのではないか、と思ったのです。

 幸い、声かけに応じてくださった方々は、私にとって全くの「初めまして」の方ではなく、ネット上のどこかでお目にかかったばかりでした。
 やっぱり「あなた誰?」っていう人だと仕事はやりにくいな、と思います。例えばTwitterの場合だとフォロー/フォロワーの関係のどちらでもない人からいきなりリプライされることがあるのですが、私にとってはドギマギしてしまうものなのです。

 今後も、「デジタル協業」を実施していきたいと思います。本の製作だけでなく、教材づくりや、勉強会の開催など、さまざまな協業をしていけたらな、と思います。

 ということで、こんなワタクシではありますが、仲良くしていただける方、随時募集中です。ワタクシ、TwitterでもFacebookでも大したことは投稿していませんが、絡んでやっていただけますと幸いです。そしてこれから一緒に楽しくお仕事をするときのパートナーに、またはメンバーになっていただけますと幸いです。
 
 どうぞ、よろしくお願いいたします。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。